2009年2月13日金曜日

社会的同期性のための情報デザインという考え方

ハコモノ電機メーカー論を考えながら、テレビについてさらにいろいろ考えて、今至った考えのメモ。


:: 自分を取り巻く環境を知るための箱 ::
なにを考えていたかって、テレビ(というか、その中身=マスメディアからのコンテンツ授受)というものは、人が社会との同期を図るための、閲覧ツール、ビューワーだってこと。

そこからいろいろ発展的に考えることができそうな予感です。敢えて名前を付ければ、社会同期性デザインという視点で。

テレビでドラマやニュースを見るのは…
・世の中に今どんなことが起きているのか認識するため、そしてそれに対する自分のスタンスを意識するため
・流行を把握するため、流行に対する自分の立ち位置を見直すため
・(主に想定できるコミュニケーション可能な範囲の)人々と共通の話題を持つため
とか。

ニコ動だって1年前の動画を再生する人は少ないでしょう。非同期にコメントを楽しむという行為(ミクロ)は、数週間という一定期間のあの界隈のコミュニティの流行(マクロ)との同期を計る行為のひとつと捉えられるわけです。

他にも、例えばLast.fmとか。自分の音楽再生履歴を晒す、そんな人がたくさん集まることで、なんらかの社会を形成すると同時に、そこへの参加スタンス次第でそこに見える社会がまた自分の位置を把握する自分用同期ソースにもなる。自分はこんな音楽を聞いてるんだけれど、他にいるかなー、ってのも、位置把握・補正などのための行為です。音楽という広い趣味の世界での、自分の軸を探す/再確認するような。その他各種SNS的なものや、Amazon、iTunesStore、Googleなんたら、といったものは、そういう価値を持ってたりするのかな、なんて。まあ惑わされるソースでもありますが。


:: シンクロ茄子 ::
「同期」って言葉使ってますが、適切ないい表現が思いつかなかったから使っているだけなので、僕が何を意図して同期という言葉を使っているか触れておきます。

まず、頭の中に2Dグラフを思い浮かべて、sinでもcosでもいいので、波形が右から左に流れていくことをイメージしてください。
世の中の様々な出来事の「波」の進む時間軸の速度、がその波形の流れる速さです。
出来事の社会へのインパクトなどが、波の縦軸の振幅です。
そしてグラフの目盛単位は「自分の」時間感覚です。
世の中の波の速さ、振幅、自分の感覚、が常に一定ではないとします。まあ感覚的にわかっていただけると思いますが。
こういった3要素を一定間隔で把握し、世の中の今と自分の感覚を認識し直す行為を、同期という言葉にしました。

電波時計じゃないアナログ時計のイメージでもいいですかね。時計が時計として役に立つ状態を保つために、それを使う人は時折時間を合わせるということをしますよね。それは、絶対的な時間をまず知り、遅れてる/進んでるを把握し、そしてちょうどに合わせたり、5分進めた時刻に合わせたり、適当に合わせたり、人それぞれ使い方に応じて、時計を合わせるでしょう。

そういった行為を、「世の中(社会)」と「自分」に当てはめたときのことを、「同期」とこのエントリでは言っています。


:: 「世の中」の範囲を限定する近代メソッド ::
日、週、月、年、いろいろなスパンで見れますが(また、時間的な同期とも限りませんが)、多くの物事が、大小含め様々な社会・共同体(の時勢)と自分の同期を取り、そこから自分の軸・立ち位置を把握・補正するということを行うためにデザインされている、と捉えると、世の中の情報デザインのあるべき姿が見えてくるような気がします。

現代においては、その世の中との同期を計るための物事の多く、というかそもそも「世の中」の認識が、自然や環境と切り離されてることが多いですよね。科学的に解体された事象毎に、同期保持のためのビューワー(閲覧環境)、同期元信号(ソース)、信号の位相ズレ(タイムシフト)などが存在するため、世界が細分化されて、人それぞれ過ぎる世界との同期の取られ方や、「本当の世の中」との乖離が進んだ箱の中の世界との同期が行われている、そういった面があるような気がします。そうなると、人々の世の中に対する認識の歪みが、ちょっと許容できないくらいになってしまうのでは。


:: 「世の中」をかつてのように拡大認識しよう ::
「世の中との同期」という視点で、そしてその「世の中」に自然環境や四季の移り変わりや八百万の神的・アニミズム的視点を取り入れれば、日本の伝統行事、地域ならではの行事なども、存在理由を身近なものとして考えられ、頭で理解するだけでなく、腑に落とすことができそうです。

様々なスパンでの、世界とのアニミズム的同期のための情報デザインをしていくこと、それがこれから必要なことのひとつなんじゃないかな、と思います。


:: メモ ::
関連しそうな、イメージ沸きそうな単語。
同期:synchronous
同情、共感、共鳴、賛成:sympathy
共感、思いやり、感情移入:empathy
協力、協調、提携、連携:cooperation
協調、一致、調和、和合:harmonization

ハーモニーっていいな。

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